「本質力」についての私の理解と考え方(2)

★以下、
「本質力」についての私の理解と考え方(1)
の続きです。

空手にはいろいろな流派・団体がありますが、
そのスタイルから大きく

「伝統空手」
「フルコンタクト空手」
「沖縄古流空手」

の3つに分けることができます。

私の学んだ空手はその中でいう

「伝統空手」です。

この記事を読んでくださっている皆さんの
ほとんどは空手の流派や団体についてよく
ご存じないと思われますので端的にご紹介
すると、伝統空手というのは、2021年に
開催された東京オリンピックで正式採用され、
競技が実施されたスタイルの空手です。

ただ、話が少し複雑になってしまうのですが、
その「伝統空手」の中にも大きく、より「競技
(スポーツ)」としての側面を重視した団体
(以下本稿では便宜上「競技派伝統空手」と
呼ぶ)と、より「武道」としての側面を重視
した団体(同じく以下「武道派伝統空手」と
呼ぶ)の2種類があり、私が学んだのは後者
の空手でした。

ちなみに東京オリンピックで行われた空手道
競技のルールは「競技派伝統空手」のルール
で、「武道派伝統空手」の試合はルールも、
おそらく一般の方が見られた際の印象も全く
異なるものとなっています。

この、同じ伝統空手の中での「競技派」「武道
派」の2つの団体は、同じ競技に参加する等
交流も深く、よく似てもいますが、取り組みの
「思想」が大きく異なります。

競技派伝統空手は、「試合に勝つこと」を
最終目標とし、その目標を実現させるために
最も合理的・効率的な方法は何か?という
発想でブレイクダウンし、組み立てられた
練習メニューを日々消化する、というスタイル
でトレーニングが行われます。

それに対して武道派伝統空手は、空手における
「基本」「型」「組手」という3つの稽古方法を
行きつ戻りつしながら、武道空手としての根本
的な力(これを「地力」と呼ぶ)を養うことに
主眼を置き、試合は、そうして養われた地力と
地力をぶつけあって実力を試す、空手道修行の
中のあくまでもひとつの要素として位置付ける
・・・という考え方で日々の稽古が行われます。

(因みに「型」は決められた技の組み合わせを
ひとりで行う稽古。「組手」は、1対1で組んで
お互いに攻防を行う稽古。「基本」は「型」から
取り出した個々の技を反復する稽古です)

伝統空手の試合には「組手」と「型」の2種目が
ありますが、競技派伝統空手の選手は大抵、
「組手の選手」「型の選手」と専門分化されていて、
組手の選手は組手の練習のみを、型の選手は
型の練習のみを行います。

その背景には、「型」と「組手」を別物と考え、
限られた時間の中でトレーニングし、結果を
出すためには出場競技をどちらか一方に絞り、
さらには試合に勝つためのポイントを絞って
そこに時間と労力を集中させるのが有効である、
という思想があります。

一方、武道派伝統空手の選手は前述の通り、
普段から「基本」「型」「組手」の3つを稽古
するのが前提で、試合においても多くの選手が
「組手」「型」の両方にエントリーします。

(そして中には、同じ大会で「組手」「型」両
種目で優勝する選手もいます)

その背景には、「型」と「組手」は深い部分で
つながっているため、型を稽古することで組手が、
組手を稽古することで型が、それぞれ深みと
拡がりを得て生きる、という思想があります。

(実際には選手や指導者個人によって考え方の
違いがあるため、それぞれの団体の所属の違い
のみによってこれまでご説明したように価値観が
はっきり二分されるということではないのですが、
ここでは両者をわかりやすく対比させるため、
このように割り切った説明の仕方をさせていただ
いています。)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ここで私が対比させたいのは
「個々の目標を実現させるために具体的な
課題やテーマを抽出し、そのひとつひとつを
クリアしていく取り組み方や思考
(=競技派伝統空手の考え方)」

「生じうるすべての課題の解決に共通して
必要となる根本的な能力を養うための取組み
を日常的・継続的に行い、克服すべき課題が
生じた際はその根本的能力をベースに具体的
応用を加えることで対応する、という取り組み
方や思考(=武道派伝統空手の考え方)」
という、全く異なる2つの考え方です。

そして、この2つの全く異なる考え方によって
鍛錬を積んだ者がその後、それぞれどのような
成長を遂げていくのか?

ということを、「武道派伝統空手」を学んだ私が
実際に体験し、感じたことを元にお話させていた
だきたいと思います。

(第2回 了)

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