★以下、
「本質力」についての私の理解と考え方(4)
の続きです。
1990年4月、大学を卒業した私は、ベネッセ
コーポレーション(当時の社名は「福武書店」)に
入社しました。
ご存じの方も多いかと思いますが、ベネッセは
通信教育「進研ゼミ」事業等、教育分野を中心に
多角的な事業展開を行っている会社です。
入社時は顧客対応部門の配属となりましたが、
3年目に進研ゼミ小学講座の運営部署に異動。
4年目からはその事業部のマーケティングや事業
開発を担当するようになりました。
4年目の私に与えられたミッションは
「中長期的な観点から、子どもたちに”21世紀を
生き抜く力”を与える新しい教材やサービスの
在り方を考えること」
何とも雲をつかむような話で、今どきの優秀な
ビジネスパーソンであればおそらく、
「そんな抽象的なミッションには応えられません」
「まずはその言葉の定義を明らかにしてください」
と、逆に上司に詰め寄りそうな気がしますが、私は
このような夢のあるテーマや自由な裁量を与えられ
た仕事が大好きで、嬉々としてこの課題に取り組み
始めました。
このテーマについて考え始める際、まず生かされた
のが既に詳述した、武道空手から得たマインドセット
で、
「人が生きていく上での『地力』は、一体何なのか?」
ということを考えることから始めました。
国語や算数などの教科学習はもちろん大切ですが、
その能力が人生を幸福な方向に導く重要なキーに
なっているとは、私自身の人生を振り返っても、
周りで活躍をされている方々の様子を見ても思えま
せん。
学歴についても同様です。私の働いていた会社が
実力主義の会社だったこともあるでしょうが、会社
でのパフォーマンスやどれだけ信頼を集め評価を
されているか?ということと高学歴であることの間に
相関関係の存在は感じられません。
どうやら人生を良い方向に導く要因は学校のテスト
の点数や入試の結果など、数値化できる能力ではな
く、数値化できない能力の中にあるのではないか?
と思い、それを「人間力」と名付けました。
因みにこの「人間力」という言葉は、今ではかなり
一般名称化しているように思えますが、私がこの
課題に取り組んでいた約30年前にはあまり耳にす
ることはなかったと思います。
そして、その「人間力」の中での重要な要素として、
人が何かの対象に対して「やる気(意欲)」を持ち、
実際に「行動」を起こし、それを「継続」し、何かしら
のことを「達成」し、その循環を繰り返す中で「自信」
を深めていくこと・・・というサイクルに着目をしました。
これを「やる気の5ステップ理論」などと名付けた上
で、人はどのような条件が揃った時にうまくこのサイク
ルに入ることができるのか?というメカニズムを明らか
にしようとしました。
私が物事の真実を理解しようとする際のアプローチの
仕方のモットーは私の中で
「理論とリアリティ」
と呼ぶもので、「理論を学ぶこと」と「現実に触れること」
の両方を同時に行い、両者の情報を消化していくことで
自分なりの「真実」を見つけ出す、という方法を取ります。
この時は「理論」の方向のアプローチとして、高名な
教育心理学者で当時お茶の水女子大学の教授をされて
いた無藤隆先生を顧問にお招きして心理学の知見を
深め、
一方、「リアリティ」の方向では大阪の調査会社の協力
を得ながら子どもと親への大規模な対面調査を行う形で
「やる気アップシステムPJ」
という研究プロジェクトを立ち上げました。
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「理論とリアリティ」両方向からの研究・調査によって
様々なことが明らかになり、分厚い報告書が出来上が
りました。
でも、当時の私にはそこから
メカニズムの解明
↓
方法論(メソッド)の確立
↓
教材・サービスとしての具現化
にまで繋げていく力が不足しており、そうこうしている
うちに統括責任者の変更に伴う部署内の大々的な組織
変更が行われ、私は別な担当に就くこととなりました。
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自分の担当した仕事を納得いくまでやり切らないまま
担当移動する、ということは会社組織で働く中でよく
あることではありますが、
私はこのテーマに対して、もはや会社の担当業務という
枠を超えた思い入れを持つようになり、担当が変わって
からもひとつのライフワークとして考え続けていました。
因みに、私が30年前に研究を進めていた「人間力」の
概念は、現在の教育界では「非認知スキル」と呼ばれ、
最もホットな課題の一つとして注目をされているようです。
様々な実験データ等も取られているようですが、肝心な
「メカニズムの解明」
「メソッドの確立」
にはまだ至っておらず、
「ではその、非認知スキルをどうやって育てるのか?」
という「実用に生かす」意味では、私が研究したレベル
からあまり進んでいないのではないか?というのが正直
な印象です。
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話を元に戻します。
思い入れを持って進めていた仕事を中途半端な状態で
終えなければならなくなったという意味でも、探求して
いたテーマに対して、何らかの「カタチ」を残すことが
できなかったという意味でも、何とも不完全燃焼的な気持
ちを残しながらもその後の担当業務に忙殺されていた
私でしたが、
「やる気アップシステムPJ」解体から3年後、思わぬ
きっかけから非常に画期的な「ある理論」と出会い、
そして再び熱い気持ちを取り戻すこととなります。
その「ある理論」とは何か?
・・・そうです。
皆様お待ちかねの、「あの理論」です(笑)。
(第5回 了)
